アニメ史上最高の実写化、「ノラと皇女と野良猫ハート」6話
太 平 洋
どうも、なををををををです。
突然ですが、皆さんは「実写化」についてどうお考えでしょうか。漫画やアニメ、ゲームなどをもとに、俳優さんを起用してドラマ映像を作ることですね。厳密には小説などのそのようなドラマ映像化も「実写化」に含まれるのですが、最近ではオタクカルチャーに属するものがもととなったドラマ映像化を「実写化」と呼ぶ、みたいな謎ニュアンスがあります。
そして最近、そういったニュアンスでの「実写化」は、嫌われる傾向にあるようです。一部の声のでかい人間の意見やまとめサイトの煽動が目立っているだけかもしれないですが…
実写化批判派の意見には、「原作と違う展開になっているから嫌い」とか「原作やアニメで良かったところが表現しきれていない」「詰め込み過ぎ」といったものが多いように感じます。こういう意見を見るたび、「原作と切り離した別作品って捉え方ではいかんのか?」と思ってるんですがいかがでしょう…原作に沿っている必要はないわけですし。個人的には実写版デスノート(映画の方)の月とLの決着とかは原作とかなり違っていますが好きです。
とにかくまあ、実写化についての賛否は分かれていると思います。
しかしそんな問題は些末なことだと言わんばかりに異次元から剛速球をブチ込んできた実写化作品があります。
そう、アニメ「ノラと皇女と野良猫ハート」の第6話です。
見ていなかった方は「アニメなのに実写化ってなんだよ、頭おかしいのか」と思っているかもしれませんが頭がおかしいのは僕ではありません。信じて。
本作品は2017年7月から放送されたショートアニメで、原作は同タイトルの成人向けゲームです。この作品、第1話から主人公の家が全焼したりするヤバめのアニメなのですが、真にヤバいのは第6話。
なんとこのアニメ、第6話のみ実写映像オンリーで構成されています。アニメとは?加えてこの実写化、ただの実写化ではないのです。今からそれを説明していきます。
まず、登場人物全員が何の脈絡もなくヤギになっています。一応、この作品の主人公・反田ノラは、ヒロインのうちのひとり、冥界の皇女パトリシア・オブ・エンドからかけられた魔法により猫になってしまったりするので関連がないとは言えないんですが、この第6話でのヤギ化は何の説明も理由もありません。あまりの理不尽さにカフカの「変身」を思い出しました。水戸市森林公園で撮影された映像のようです。パトリシアはヤギ化に順応して普通に草を食しています。冥界の皇女が地べたに生えている草をもぐもぐ味わう様子が実写で見られるとは思いませんでした。
その後唐突に「海に…行きたいわ…」と語り出すパトリシア。呼応して「行きたーーーーーーーーーーい!どっちが海ーーーーー!?あっあえっ、行きたーーーーーーい!」と叫ぶヒロインのうちのひとり、明日原ユウキ。一人困惑し続けるヒロインのうちのそのまたひとり、黒木未知。ときおり普通に鳴き声をあげるヤギ。そして何かオチがつくわけでもなくそのまま第6話は終わります。海にも行きません。
スタッフロールに刻まれる謎の文字列、「ヤギ ヤギ」が異常さを物語っています。「監督 森井ケンシロウ」が「監督は森井ケンシロウがやっています」ということを意味するように、「ヤギはヤギがやっています」ということなのでしょう。見たらわかるよそんなもん!ちなみに森井ケンシロウさんはこのアニメの監督です。何考えてたんでしょうか。
ほとんどの内容は語ってしまったのですが、とにかく一見の価値ありです。実写化がどうだとかいう問題の輪から抜け出したような気分になります。原作をできるだけ再現しようだとかそういった意気込みは一切感じられません。ヤギだし。人気の俳優で客を釣ろうとしてる系論争も起こりません。ヤギだし。
見たことのない人には「ヒロインたちが全裸のまま駆けまわったり呻いたりする映像が実写で見られるんだぜ」と言って勧めましょう。
それでは。